ヘリコバクターピロリ菌について

1982年にオーストラリアのWarrenとMarshallによって発見された胃の粘膜に棲みつく細菌です。胃の中は強い酸性で通常の細菌は棲みつくことはできませんが、ピロリ菌はウレアーゼという酵素をだして、アンモニア(アルカリ性)のバリアを作り生き続けることができます。

ピロリ菌の感染経路

胃の粘膜に棲みついているピロリ菌は、吐物や糞便に混ざって体外に出た後、他の人に水などとともに飲みこまれ、その人の胃内に棲みつきます。それでは、生水を飲んだり、キスしたりすることでピロリ菌に感染してしまうのでしょうか? 上下水道の整備された現代日本では、生水を飲んでもピロリ菌に感染することはありません。また、大人になってからはピロリ菌の感染はほとんど起こらないと考えられています。ピロリ菌は、ほとんどが幼児期に感染します。幼児期の胃の中は酸性が弱く、ピロリ菌が生きのびやすい環境にあることが原因とされています。そのためピロリ菌に感染している大人から小さい子どもへの食べ物の口移しなどには注意が必要です。

ピロリ菌感染の診断方法

診断には6種類の方法があります。どの方法を選択するかは、除菌前か後か、内視鏡を行うかどうかで多少異なります。さくら内視鏡クリニック品川では、すぐに治療を開始することをモットーに、迅速ウレアーゼ検査や尿素呼気検査を導入しています。またどの検査も100%確実なものはないため、診断精度を上げる目的で複数の検査を同時に行います。

迅速ウレアーゼ検査

胃カメラで採取した胃粘膜を試薬内に浸けこむことで、15分後にはピロリ菌感染が判定されます、胃カメラを受けた当日に結果をお伝えし、すぐに除菌治療を開始できるようになります。

尿素呼気検査

精度が高い検査であり、主に除菌後の判定に用います。胃カメラを行う必要はなく、20分の間に検査薬の内服とバッグに2度息を吹き込み、POConeという分析装置で解析するだけですむ簡便な検査です。この結果についても当日にお伝えすることが可能です。

ピロリ菌の除菌療法

2種類の抗菌薬と胃薬を1週間内服する治療方法です。保険による1次除菌では、80%程度の方が除菌に成功します。残念ながら1次除菌で除菌されなかった方には、別の薬を用いて再除菌をおすすめします。

除菌後に必要なこと

ピロリ菌を除菌しても、ピロリ菌が長く感染してきた結果である慢性萎縮性胃炎は残ります。つまり胃がんの発生リスクはピロリ菌に感染していない方に比べて高いことには変わりはありません。定期的な胃カメラを受けていくことを強く勧めます。

慢性胃炎(特にピロリ菌感染胃炎)

胃にピロリ菌が感染して、胃粘膜に炎症が起こり徐々に胃粘膜が萎縮していく病気です。ピロリ菌の感染期間が長くなると、つまり年齢が高くなってくると、胃粘膜の萎縮が高度になり、萎縮性胃炎と言われるようになります。比較的多く見られる症状はお腹の不快感、膨満感、食欲不振などですが、症状のほとんど見られない人もいます。そのため診断には胃カメラ(上部消化管内視鏡検査)を行い、直接胃粘膜を診るのが有用です。

ピロリ菌感染胃炎に注目する理由

ほとんどの胃がん(胃がんのうち99%)はピロリ菌感染胃炎によって胃粘膜から発生します。将来胃がんで苦しまないように、そして胃がんで命を落とさないためにも、ピロリ菌感染胃炎への対策をしておく必要があります。
まずは、ご自身やご家族の胃がピロリ菌感染胃炎であるかないかを検査しておくことが必要です。そこで、ピロリ菌感染胃炎と判定された場合には、除菌をして胃がんになるリスクを下げておきましょう。
さらに、胃がんになったとしても早期の段階で少ない治療で治せるよう、定期的に胃カメラを行うことも重要です。

胃・十二指腸潰瘍

胃や十二指腸に深い傷(潰瘍)ができる病気です。原因としては、ピロリ菌によるものが大部分で、次に他に、薬(特に痛み止めの薬)によるものがあります。潰瘍は、胃カメラ(上部消化管内視鏡検査)で診断されます。
潰瘍ができると出血して、血を吐いたり、真っ黒な便がでたりすることがあります。特に気をつけたいのは、胃がんでも潰瘍ができて同じような症状がでることがあるため、胃がんとの鑑別のためにも胃カメラを受けることを強くお勧めします。

主な症状

最も多いのは上腹部あるいはみぞおちの痛みです。鈍い、うずく様な、あるいは焼けるような痛みが続くのが特徴的です。また空腹時に痛みが強く、食事をとることで痛みが軽くなる傾向はありますが、絶対的なものではありません。そのほかには、膨満感、悪心、嘔吐、胸やけやゲップなどがみられます。

生活習慣や食事で注意することは

たばこやストレスは潰瘍を発生させやすくします。また、強いストレスがかかると急性胃粘膜病変という病気になって、突然お腹が痛くなったり、吐いてしまったりすることもありますので、喫煙と過度なストレスは避けるべきです。また、カフェインや香辛料などの刺激物、またアルコールの大量摂取も潰瘍の発生を高めるとされます。刺激物の多量摂取や多量飲酒は避けるほうが望ましいです。

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