ピロリ菌の除菌について
こんにちは。さくら内視鏡クリニック品川の瀧田です。今日はヘリコバクターピロリ菌の除菌についてお話しします。
ピロリ菌は胃に住み着く菌で、ほとんどが乳幼児期に感染すると言われています。ピロリ菌の感染が続くことにより、胃潰瘍や十二指腸潰瘍、胃がんの原因となることが知られており、消化器疾患のみならず、貧血などの血液疾患や慢性じんましんの発症にも関わっているとされています。逆にいくつかの疾患の発症を抑えているとも言われているのですが、胃がんが多い本邦ではピロリ菌の除菌が積極的にすすめられており、2013年にピロリ菌による胃炎に対する除菌治療が保険適応となりました。
除菌治療は内服薬でおこないます。2種類の抗生物質と胃酸を抑えるお薬を1日2回、1週間内服してもらうことで、現在およそ9割のピロリ菌が除菌できると報告されています。しかし、すべてのピロリ菌がこの1週間の内服で退治できるわけではなく、抗生物質が効きにくいタイプの菌をお持ちの方は一回の治療では除菌できない場合があります。その場合は、抗生物質の組み合わせを変えて、もう1週間内服してもらうことで、除菌が成功することも多いです。残念ながら、2回治療をおこなっても除菌できない方が数%おり、3回目以降はまた抗生物質の組み合わせや期間を変えてということになるのですが、3回目からは自費での診療となります。
除菌治療中にはや下痢、味覚障害や皮疹といった、いくつか有害事象が起こりうることに注意が必要です。多くが内服終了後に改善しますが、ご心配なことがあればご相談ください。また、喫煙は除菌の成功率を下げることが知られていますので、除菌治療中の喫煙はお控えください。除菌が成功したかはどう判定するのでしょうか。当院では息を吐いてピロリ菌の有無を調べる呼気検査を用いて判定しています。除菌薬を内服し終わって、数週間経過してから評価をおこないます。
保険診療で除菌治療をおこなうには、事前に上部内視鏡検査(胃カメラ)で現状の評価をする必要があります。除菌に成功すれば、胃潰瘍や胃がんのリスクは低下しますが、まったくなくなるわけではありません。除菌後も定期的に内視鏡をしてもらったほうが安心でしょう。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。