がんの内視鏡治療について
こんにちは。さくら内視鏡クリニック品川の瀧田です。今日はがんの内視鏡治療についてお話しします。
内視鏡医が関わるがんには、食道がんや胃がん、大腸がんなどがあります。これら消化管のがんは進み具合によって治療法が変わります。臓器によって異なりますが、手術、抗がん剤、放射線治療など、診断の時点でのご病気の状況により、適切な治療が提案されていくこととなります。
中でも、早期中の早期で発見できると、内視鏡で切除するという選択肢が提案できる場合があります。消化管がんの進み具合は大きさではなく、主に粘膜の表面からの深さで規定されます。早期の段階、すなわち粘膜の表面にしか病気が拡がっていない状態であれば、転移の危険が限りなく低いことがこれまでのデータの蓄積でわかっていて、そういった状態であることが予想されれば、内視鏡切除が第一選択となります。ここで大切なのは、事前診断はあくまで予想ということです。もちろんある程度の根拠をもって診断されるのですが、切除した後に病変を病理検査に提出し、きちんと切除されているかと合わせて、進み具合を顕微鏡のレベルで診断してもらい、内視鏡で切除できる段階であったか確認する、というプロセスが必要になります。
そもそも内視鏡というのは日本で開発された機器で、ポリープや早期がんを内視鏡で治療するという治療はずいぶん前からおこなわれてきました。当初は金属製の輪っかで病変を切除するという方法が行われていて、これはいまも用いられている治療なのですが、がんの形や大きさによって、輪っかでうまく切除できない場合がしばしばありました。その後、20数年前に特殊な電気メスで病変をはぎとってくるESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)という治療が開発され、現在消化管の早期がんの治療として広くおこなわれています。
がんを内視鏡で切除できれば、(体内は別として)お体には傷が付きません。治療期間も他の治療に比べて短いですし、当然回復も早いです。当院ではこのESDはおこなっておりませんが、治療が必要なご病気が見つかった場合は治療可能な施設にすみやかにご紹介させていただきます。内視鏡切除が可能な段階でがんを発見するには定期的な検査が重要ですし、こちらもその段階で発見させていただくつもりで日々診療にあたっております。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。