ひと昔前まで、みぞおちの痛みやもたれに対して、慢性胃炎という病名が用いられていました。現在、慢性胃炎は内視鏡で炎症を認めるものと、組織検査で炎症を認めるものを指すようになり、症状の有無は問わないようになりました。
慢性胃炎は長期にわたり、胃の粘膜に炎症が起きている状態です。かつては加齢により起こると考えられていましたが、その多くがヘリコバクター・ピロリ菌(以下ピロリ菌)の感染により起こることがわかってきました。その他の原因としては、自己免疫疾患によるものや、全身疾患によるものがあります。
ピロリ菌は胃に住み着く菌で、多くは子供の頃に感染すると言われています。ピロリ菌の感染が続くことにより、胃の粘膜に炎症が起こり、萎縮(粘膜が薄くなる)が起こります。症状がない方も多いですが、慢性的なみぞおちの痛みやもたれ、吐き気や上腹部の張りの原因となることもあります。
慢性胃炎は胃カメラで診断することができます。ピロリ菌については、胃カメラで調べることもできますし、息を吐く検査(尿素呼気検査)や血液検査で調べることができます。
ピロリ菌感染により萎縮がすすむと、胃潰瘍・十二指腸潰瘍や胃がんが起こりやすくなることが知られています。ピロリ菌の多くは内服薬で除菌することができます。除菌をすることで、胃がんのリスクを減らすことができることが知られています。
胃がんは数少ない予防のできるがんです。一度ご自身の胃の状態を調べてみてはいかがでしょうか。お気軽にご相談ください。